そのときは、少し緊張する

大好きな木がある。

それは川沿いの道に、
堂々と、しかし、優しく佇んでいる。

まわりの木よりもずっと背が高くて、
でも、ほっそりとしていて、風になびく。

鳥たちも、その木にたくさん集まってくる。

駅からの帰り道からは、ちょっと遠回りだけど、
いつもその木を眺めてから家に戻る。

時には、近づいて、そっと触れてみることもある。
そのときは、少し緊張する。

日常のなかで、こころが慌ただしくなったときには、
この木のことを思い浮かべる。

大好きな木の、天辺からはどんな風景が見えるのだろう。

そして、新しく歳を重ねた今日、
いつもよりもさらにゆったりと、
大好きな木の側で時間を過ごしてきました。