日常のなかのリス

朝、早起きして、登山に出かける。
北海道大滝にある、徳舜瞥(トクシュンベツ)岳の
頂上を目指しました。

中学高校のときは、毎年学校で登山に行っていたのですが、
ひとりだけで登山をするのは初めてのことで、
ペース配分のことなど、やや不安もありながら歩きはじめました。

ペース配分を自分ひとりでコントロールするという意識から、
いつも以上に、さまざまなことを
敏感に感じながら、山頂を目指しました。
そんななかで、感じていたことは、
なんだか、普段の生活での時間の使い方にも、
そのまま、あてはまりそうことがいくつもありました。
例えば、このようなもの。

(1) 頂上がものすごく遠く遠くに見えて、
  これは無理なのではと、心配になるのですが、
  あまり遠くを見すぎないように、足下に意識を向ける。
  そして、足下だけでは集中が途切れることもあるので、
  一合目、二合目、というように、目前の目標を意識する。

(2) 休憩はとても重要、でも、休みすぎると、
  疲労感が出てきてペースが崩れるので、
  適度な休憩時間をこころがける。

(3) 傾斜がきつくなってきて、息苦しくなってきたとき、
  目の前に小さなリスがあらわれる。
  餌をさがして土をかきわける作業に必死なリスは、
  こちらになかなか気づかずに、
  僕の手が届くくらいの距離で、やっと気づいて、
  ぴょんっと、飛び跳ねるくらいに慌てながら、
  草むらに隠れていった。
  そのしぐさがなんともかわいらしいこと。
  そして、そのかわいらしさのおかげで、
  それまでの息苦しさが不思議なほどに、
  とこかへ吹き飛んでしまう。

(4) 途中、人の声がきこえて、すれ違うときに挨拶。
  だいぶ疲労感に襲われていても、
  人に会うと、その瞬間、しゃきっと姿勢が正しくなる。

このなかでも、特に、(3) のできごとが僕にはとても新鮮に響いて、
日常のなかのリスとは、どんなことなのかな、と考えてみたり。
リスは、すばしっこいですし、小さいですし、
自分が、疲れてたり、忙しかったりすると、
なかなか見落としがちになるかもしれないけれど、
そんなときにも、リスに出会えるゆとりが欲しいものです。

そんなこんなで、無事頂上に、到着。
最高の天候にも恵まれて、
360度の素晴らしい眺めを堪能できました。
特に、洞爺湖越しに見えた大きな海(内浦湾)、その風景は、
ただただ、呆然と眺めてしまう、美しさでした。
そして、頂上で寝そべりながら、
お気に入りのヘッドホンで、とっておきの音楽を味わう。
視界には、手の届きそうなくらいに、すぐそこにある雲、それだけ。
あまりに気持ちよくて、二時間近く、そうして過ごす。
これはほんとうに至福のとき。

そういうわけで、ついでにもうひとつ追加。

(5) 頂上で感じることのできる、至福の心地よさを思い描く大切さ。

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帰りは、名水亭という大きな露天風呂の温泉で、のんびりと。
こころがたっぷり満たされた一日でした。

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