思っていても伝えられないこと

帰り道、いつもとは違う、
見知らぬ道を選んで進むと、
見知らぬラーメン屋さんがありました。

魚介系のおいしそうな香りに誘われて、
するするとお店に引き込まれる。
ラーメン屋さんにしては、わりと広い店内ですが、
時間帯もあってか、お客さんは僕ひとり。

食券を買うと、ひとりで切り盛りしている店長さんが、
わざわざこちらに歩み寄ってきてくれて、
いらっしゃいませ、と受け取ってくれた。

お味の方はというと、
魚介系だけど、あっさりしすぎない感じで、
とても僕好みでした。

「ごちそうさま」のことばですら、
ちょっとはずかしくて、
小さな声になってしまう僕ですが、
今日のラーメンはとても美味しかったし、
それなのにお客が少ないことが、寂しくもあり、
自然と「とてもおいしかったです」、
ということばが出てきた。

それまで、やや曇りがちだった店長さんの表情は、
一瞬でぱっと、明るくなって、満面の笑みで、
「ありがとうございました」と伝えてくれた。
僕も笑顔で再びお辞儀をして、お店を出る。

帰り道、自転車に乗っているときも、
店長さんとの、ほんの一瞬の、
あたたかい会話が残り続けて、
おいしいラーメンの味が、さらにおいしく広がってきた。

思っていても伝えられないことって、たくさんあります。

でも今回は、
「おいしかったです」のひとことが伝えられて、
あー、よかったなぁ、と感じました。

こころが動いた記憶

お気に入りの小説や映画の多くは、
意外とそのストーリーが、
思い出せないものが多かったりします。

でも、その話を読んでいたときに、
こころがぐわっとなったことや、
恐怖心がものすごく広がったこと、
あたたかい気持ちになったこと、
そんな感覚はいつまでも残っているような気がする。

なにがどうなって、誰がどうなって、という情報は、
時間が経つとすっかり忘れてしまうことが多いけど、
自分のこころが動いた記憶というのは、
色濃く、残り続けるのではないかな。

だから、
自分自身のこころが動く瞬間を大切にしたいと思う。
そして、その動いた記憶を、他の誰かと共有できたら、
ほんとうにしあわせなことだと思う。

そんなことを思いながら、
音楽をつくっていけたらいいなぁ。

奏でた音の捉え方

ギター練習とピアノ練習を終えたところ。

その2つは、音を奏でる動作が全く違うけど、
片方が上達すると、それに伴い、
もう片方も、上達してくるから不思議。

それはきっと、
「聴く力」のレベルアップなのでは。

演奏するときには、
どうやって弾くかよりも、
どうやって音を聴くかが、
とても重要だと思うのです。

自分が奏でた音の捉え方、
その質が向上することで、
演奏力は大きく飛躍するようです。

人とのつながりから生まれる音楽

よい音楽を作っていくことで、
多くの人とのつながりが生まれる。
昔は、そんな考え方をしていました。
とことん作曲、作曲、あとは、
そこから続いていくと。

でも、ここ数年で、それまでの考え方が、
いかに小さくて狭いものであったのかを
感じるようになりました。

多くの人とのつながりに感謝して
そして大切に思うこと、そこから、
きっと、よい音楽も生まれてくるのではないかなぁ。

*

大阪と京都でのライブを終えて、
東京に戻ってきました。
遠く離れた場所でも、
お互いを知ってる、素晴らしいバンドたちと共に、
素晴らしいイベントに出演させていただけるということ。
そして、1年に1〜2回くらいしかできない、
地方でのライブをたのしみに
待っていてくれるファンの方がいるということ。

これは、ほんとうにとてもうれしいことで、
感謝の気持ちでいっぱいです。どうもありがとう。
そして、ここから、またよい音楽を作って、
euphoriaの活動をコツコツと、
重ねていきたいなぁ、と思うのです。

共感をじわじわ広げていく

録音とミックスを担当させていただいた、
百景の「とおくを つなぐもの」が、
先日発売になりました。
ほんとうに、すばらしい作品です。

そして、このなかに収録されている楽曲、
「空の記憶」のリミックスをしました。
ディスクユニオンで購入された方の
先着特典音源として、聴いていただくことができます。

http://diskunion.net/jp/ct/detail/IND4620

リミックス制作は、
普段のゼロからの曲作りとは違って、
作曲家の持つきらりと輝く部分、
それに対して生まれる共感を
じわじわ広げていくようなイメージ。
その作業が、僕はとても好きです。

これまでには、
スウェーデンのバンドEFや、
Rally LabelのOne Day Diaryの
リミックスなどを手がけてきました。

そして今回の百景リミックス。
新たなリミックス手法を多く取り入れて、
個人的にもとても満足のいく仕上がりになっています。
百景タナカさんにも気に入っていただけて、
うれしかったなぁ。

よかったら、「とおくを つなぐもの」と共に、
ぜひチェックしていただけたらうれしいです。

あたりまえではなくなること

4/29のツアーフィナルで、
fluidifyのCDパッケージ版を先行発売しました。

すでにアルバム全曲を高音質で無料配信している状況で、
どのようなモノをリリースしようか、
さまざま考えてきました。

あれこれ工夫をこらし、完成したそれは、
僕たちのなかで、かなりの満足度まで達していたけれど、
でも実際、どれだけの人が手にしてくれるのだろうと、
少し恐ろしいような、そんな気持ちもありました。

それが、当日、
ハンドメイド版の分はあっという間に完売、
だいぶ多めに持っていったノート型の方も、
ひとつ残らず、売り切れてしまいました。

これまでにCDのみでリリースしていたときと変わらず、
いや、もしかしたら、それ以上に
多くの人の手に渡ることもあるのかもしれない。

すでに無料での配信を行っているのにも関わらず、
こうしてパッケージ版を手にしてくれるということは、
ほんとうにとてもうれしいことです。

そして、マイナスのことが多く取り上げられている、
これからの音楽の在り方に対して、
もっと柔軟な視点を持ち続ける大切さを、
改めて感じている今日この頃です。

あたりまえだったことも、あっという間に、
あたりまえではなくなるということを、
あたりまえに受け入れられるように。