アカバナユウゲショウ

なにげなく身近に存在しているものに、
いつもとはちょっとちがった接し方。

今まで、遠めからなんとなく、
きれいだな、と思っていた小さな野花に、
今日はぐっと近づいてみる。
香りを感じてみる。
実際に触れてみる。
その名前を調べてみる。

アカバナユウゲショウ。

とても小さくて繊細で、
なにげなく身近に存在しているものが、
自分のなかの世界を広げてくれる。


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お蕎麦屋のおばあさんのメロディー

これまでのゴールデンウィークの記憶が、
ほとんどないことに気付き、
今年はどこかへ、と思っていました。

そして行った先は、秩父の温泉。
こんなこというと、おじいさんのようですが、
僕は、温泉でゆっくり時間を過ごしているときに、
こころの中から湧いてくる、「ごくらくごくらく」という
ことばを感じることが、大きなしあわせのひとつなのです。

ゆったりと温泉に浸かったあとは、
おいしい手打ちそばを食べました。
小さな看板をたよりに、車を走らせると、
結構な山奥に、ぽつんとお蕎麦屋さんがあらわれる。
周りにはのどかな畑があって、
ここで使われる野菜はすべて自家栽培とのこと。
ガラス越しに蕎麦を打つおじさんが見える。

コシのある蕎麦で、揚げたての天ぷらも、とても美味。

そして、それ以上に、感動したのが、
おじさんの奥さんの笑顔、所作がとてもすてきだったこと。
おばあさんと言っては失礼かもしれませんが、
お孫さんもいらして(連休だから手伝いにきていた)、
そのお孫さんとお蕎麦を運んだり、天ぷらを揚げたりしていました。

店内では、演歌が流れているのですが、
その曲に合わせて、ときどき、
おばあさんが、くちずさむメロディー。
そのうたごえのかわいらしさ、力強さ、美しさ。
お蕎麦のおいしさと相まって、とても感動してしまいました。

ほんとうに、演歌が大好きで、うたうことが大好きで、
自然と溢れてきたそのメロディー。

近頃、よい曲を書こうとばかりの思いが先走り、
なかなか形にすることができず、どうしたことか、
という日々を過ごしていた僕にとって、
その自然と溢れてきたメロディーの存在は、
とてもこころに響くものがありました。

*

中学生のとき、初めてギターで
自分の曲を作ったときのよろこび。

ラジカセを二つ並べての多重録音で、ときめいた気持ち。

お小遣いを貯めて買った、
4トラックのカセットMTRを手にしたときの興奮。

サンプラーというものに初めて触れて、
夜も忘れて、ひたすら曲を作り続けた記憶。

3人で初めて、せーの、で楽器を鳴らしたドキドキした気持ち。

そのときそのときの感覚は、
きっとまだ、こころのなかに、身体のなかに、しみ込んでいる。
そんなことを気付かせてくれた、
お蕎麦屋のおばあさんのメロディー。

音楽というものを、こころから大切にしたい。
そして、音楽の持つ、その大きな力への感謝の気持ち。
そんな、ごくあたりまえだけれど、
ときどきぼんやりうすらいでしまう、
その気持ちをしっかりと抱えていきたいと思ったのでした。


パンとカーネーション

ストレート過ぎてもなぁと、思い、
そうだ、パンが好きだよな、とひらめいて、
僕のお気に入りのパン屋さん、ダンディゾンへ。
吉祥寺まで、自転車で出かける。

母の日のプレゼント。

さまざまなパンを買っての帰り道、
いざ、考えてみると、
これでは彩りにかけるなぁと、感じて、
結局、お花屋さんにも。
慣れないお花屋さんという空間で、戸惑いながらも、
淡いピンクのカーネーションを選ぶ。

自転車のカゴから焼きたてパンのおいしい匂いが漂ってきた。
そして、ぴょんと頭ひとつ飛び出したカーネーション。
なんだか照れくさい気持ちで、誰にも会わないようにと、
そそくさと、家へと向かう自転車を進める。

家に戻ると、久々に姉も遊びにきていて、
手作りのパンを持ってきていた。
あららー、と、苦笑い。

でも、森川家は、みんなパンが好きなので、
うれしさは倍増、ということで。


母の日なんて、ちょっと、照れくさいなぁ、と思うけれど、
この日があるおかげで、照れくさいながらも、
感謝の気持ちを伝えることができるんだよなぁと、思うと、
よい一日だったなと感じたのでした。

散歩のなかのふたつの季節

じんわりと暖かな日差しに誘われて、
川沿いの道へ散歩に出かける。

これぞ春の感触、と、こころで呟きながら歩いていると、
次第に、だんだんと、暖かいから少し暑いなぁ、に変わってきた。
ぴかぴかの太陽が照らす強い日差し。

すっと、吸い込まれるように、木陰のベンチへ。
この木陰に入って感じる、心地よさに浸っていたその瞬間、
夏がやってくる、とこころで呟く。

散歩している、その時間のなかで、
ふたつの季節に出会いました。

いっそのこと、梅雨を飛び越えてしまいたいなぁ、と、
そんなことを思いながら、ゆっくりと歩きはじめました。