真っ白な模様に光をあてるように

真っ白な背景に浮かぶ真っ白な模様を
思い描くだけじゃ、
少し見つけづらいかもしれない。
だから、その真っ白な模様に
ちょっと光をあててみようか、
見る角度を変えてみようか、
ほんの少し触れてみようか。

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真っ白な背景に浮かぶ真っ白な模様(white pattern)に
気づくために大切なことは、「想像力」を持つということ。

では、その「想像力」を持つために
必要なことはなんだろう、と考えました。
もちろん、それは人それぞれの答えかたがあると思うけど、
僕にとって「想像力」を持てるときはいつも、
こころのなかに「静けさ」を感じられているな、と思うのです。

たとえば、人に対して、憎しみや嫌悪感を抱いてしまっているとき、
そういった感情は、ものすごいパワーを持っているものだから、
放っておくと、そのままどんどんと膨れ上がっていきます。
でも、こころの奥底に「静けさ」を感じられるときには、
ほんとうのことを見つめる視線が生まれてきます。
憎しみを抱いてしまったのは、
その人のほんの一部分しか見ていなかったから。
身の回りにあるものは、すべて多面的な存在で、
ましてや、人の存在なんて、多面的の極みのようなもの。
そういったことに気づく「想像力」が生まれることで、
ちっぽけな自分の感情に振り回されることなく、
もっと大きなものの存在を感じることができるのです。

ここでは、分かりやすい、身近なことを書いてみましたが、
もっと言葉にしにくいような、
自分自身のなかでも具体的なことが思い浮かばないけれど、
なんだか調子悪いな、いらいらしてしまうな、というようなとき。
そこからするりと抜け出すことが出来るときというのは、
やはり、そのとき、こころのどこかで「静けさ」に、
気づくことができていたのだと思うのです。

"white pattern"という作品が、
真っ白な背景に浮かぶ真っ白な模様に
気づくことの大切さをテーマに作られたものとすると、
"silence in everywhere"という作品は、
その真っ白な模様に気づくために大切なことを
テーマに作ったアルバムだと思っています。

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真っ白な背景に浮かぶ真っ白な模様に、

ちょっと光をあててみようかな。

"silence in everywhere"を聴きながら。